第一話 神の恩寵

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第一話 神の恩寵

「ジョバンニ・ランスフォード、汝に与えられし神の恩寵は――レンタル・メンタルである」 「?」 「ふむ? 初めてのスキルであるな――」  十歳になると神様に頂く恩寵。それをスキルと呼んだ。たいていは戦闘か、生産に役立つ能力なのだが……。 「ごく稀にユニーク・スキルという特異な能力を授けられることがある」 「僕のスキルがそうなんですか?」 「聞いたことのないスキルじゃ。胸に手を当てて」  言われた通り、ジョバンニは自分の胸に手を当ててみた。 「レンタル・メンタルと唱えてみよ」 「はい。レンタル・メンタル!」  するとジョバンニの脳裏にスキルの使い方が閃いた。ずっと忘れていたことを思い出したような不思議な感覚だ。 「分かりました、神父様」 「どのようなスキルじゃ?」 「はい。他人のメンタルを一時的に借用する能力です」 「他人のメンタルとな? いったいどのような効果がある?」 「その人の性格、性癖、思考パターンを再現できるようです」 「ふうむ。それだけか? 他人の能力、たとえば魔法や武技を真似することはできるのか?」 「いいえ。能力や知識はレンタルできません。メンタルだけです」 「それでは戦闘の役にも、生産の役にも立たんな。外れスキルのようじゃ」 「――そうですか」  ジョバンニは肩を落として家路に就いた。
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