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「リョウ! お前も始めろよ」
タクヤが俺の肩に腕を回してニヤついた。
だがすぐに「おう! やるやる!」とは言えない。個人的な財布事情。俺はタクヤ達の家のようにそんなに多くのおこづかいをもらっていない。俺の家は貧乏だから、厳しい母ちゃんから千円しかもらっていないのだ。タクヤ達は毎月一万円ぐらいおこづかいをもらっているというのに。数万円もするフレキオンなんかもってのほか。
「いや…でも俺おこづかい少ないし…デッキ構築できるほどカードなんか買えないよ」
「仕方ね~な~」とアキラが大袈裟に溜息を吐いた。
「なら、俺が少しカードわけてやるよ。何枚かダブってるしな。俺のいらないカードをあわせたらデッキの一つぐらいはすぐにできるだろうぜ。フレキオンも一台余ってるし、貸してやるよ」
と自慢げに言うアキラに続いて、「リョウ君…僕の余ったカードもあげるよ」とモジモジしながら言うシュン。
これはもうやるしかない流れかも。
「わかったよ。で? どこにカードを買いに行くんだ?」
「田中南町玩具店だよ」
とタクヤが笑いながら言うと、アキラが「早く行こうぜ」と俺達の前を歩き出すと、シュンが両手でランドセルの肩紐を握りしめながらアキラの後に続いた。
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