田中南町玩具店

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 俺はお金というハードルを乗り越えられたことで少しワクワクしていた。基本構築のパック一つにしても五百円はするらしい。絶対普通ならこんな高価なもの、小学生の俺には買えない。お年玉をもらってやっと即席のデッキではなく、まともなデッキを作ることができる。 「そうだ! リョウはどういうテーマのカードを使いたい?」  タクヤは目を輝かせた。 「テーマ?」 「ああ。そうか。そこから説明しないといけないよな。ええっと…」  スラッシュマスターは三つのテーマからデッキが構築されるようだった。天使、人間、そして悪魔。  ライフは百点で、サーバントと呼ばれる従者を使役して相手のサーバントに攻撃、もしくは直接プレーヤーに攻撃をする。相手は従者でブロックをしてライフを守るか、アクティブコマンドと呼ばれるカウンター呪文でサーバントを破壊する。よって先に相手のライフを奪った方が勝ち。  天使の属性はライフの回復とサーバントの数を増やすこと。人間の属性はデッキのドローと攻撃力の増加と減少。悪魔の属性はデッキの破壊とカウンター呪文のコンボ。  そこで俺が気になったのは…。 「みんなはどんなデッキを使っているの?」 「そんなの決まってるだろ。悪魔に決まってるじゃないか」とタクヤが言うと、「そうそう。デッキ破壊ができる悪魔は魅力的だよな」と笑いながら言い、「うん。僕も属性は一番悪魔が強いと思うんだ」という結論でシュンがしめた。 「へ~そうなんだ。じゃあ俺も悪魔にしようかな」 「リョウも使ってみたらわかるって!」とタクヤが言った時、田中南町玩具店に着いた。
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