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「鍵谷さん、今日は早いですね」
「まぁ、残業するなって言われてるしね」
「働きすぎなんですよ。無理しないでください」
「まぁ、帰れる時に帰っておかないとね。今はちょうどヒマな時期だし」
「仕事がデキる人も大変ですね」
「そっちは?忙しいの?」
「いえ、納期終わったばっかりなんでうちもヒマです。ヒマすぎてお菓子ばっかり食べちゃってます」
「ふぅん」
ちょうど会話が途切れた時、エレベーターの到着を知らせる音と一緒に白い光が点滅した。ドアが両サイドに開いて空っぽの箱がわたしたちを迎える。
「どうぞ」
「いいよ、そっちが先に待ってたんだから」
「え、でも」
「いいから早く乗って」
「あ、はい」
鞄で促され、先にエレベーターに乗り込んだ。開ボタンを押しながら、鍵谷さんが乗り込むのを待つ。わたしは右側、鍵谷さんは左側に分かれて立った。
一階のボタンを押す。ドアが閉まり、エレベーターはゆっくりと動き出した。
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