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あれから数日、洋一郎とは口をきかなかった。 こいつが話しかけてきても、僕は徹底的に無視をした。 そう、まるで一色さんのように。 一色さんは変わらず無愛想だ。 クラスメートの女子からは「ちょっと可愛いからって、調子に乗ってるんじゃない?」と言われていることに、気づいているのかな。 何で、みんなと話さないのだろう。 「なぁ、司。いいニュースがあるんだ」 休み時間。洋一郎が話しかけてきたので僕は立ち上がる。 「一色さんのヒミツだよ」 ヒミツ? 洋一郎の顔を見ると、何度も頷いている。 「・・・ヒミツって?」 「これは、親友のお前にしか言えない事だ。あ、でも、お前にとって俺は親友でも何でもないのか・・・」 こいつのわざとらしいこの演技がムカつくんだ。 「いいよ、許す」 そう言うと顔を輝かせ、握手を求めてきた。それは無視し、それで?と聞いた。 「馬場ちゃんから聞いたんだけど」 今年から新しい先生としてやってきた馬場先生。運動神経が良く、皆から馬場ちゃんと呼ばれ人気がある。 「馬場ちゃんから?何を」 「一色さんの親、サーカスの団員なんだって」 「サーカス?」 「そう。それで、一色さんも毎日サーカスの練習をしてるんだってよ」 そうなのか。サーカスと言えば、ジャグリングや空中ブランコ。または、玉乗りか。 一色さんがそれらをやっている姿が想像つかなかった。
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