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「いやぁ、俺を頼ってくれるのは嬉しい」
放課後、馬場ちゃんが体育館の開いている時間を見つけてくれ、練習を手伝ってくれた。
馬場ちゃんはやっぱり話しやすく、教師というより友達という感覚に近い。
目の前に青色のバランスボールを持ってきて、まずはこれに乗ってみろ。と言った。
ボールに手をつくとボールがへこむ。
この不安定さが怖いが、「大丈夫だ、ほら」と馬場ちゃんの笑顔を信じ足から飛び乗った。
見事、後ろに転び背中から落ちる。
それを見て洋一郎は笑い、馬場ちゃんは心配そうに声をかけてきた。
「まずは、ボールに体を預けるところから始めようか」
「はい・・・」
先は長そうだ。
練習を初めて一週間が経った。
大分バランスボールには慣れてきたが、まだ上に立つことは出来ない。
そんな中「今日、一色さんが見に来るぞ」と洋一郎が言った。
僕はバランスボールから転げ落ちる。
「は、なんで?」
「練習の成果を見せないと」
こいつは本当に勝手だ・・・。
まだ成果も何も出ていない。
「来るわけ無いだろう」
「なんで?」
なんでって。逆になんで来るって思うのか。
「大丈夫、絶対来る」
洋一郎はいつものように自信満々の顔で頷く。
僕が疑うように見ていると、「果たし状を送りつけた」言ってきた。
「え、何?」
何を言われたのかが理解できず聞き返しているときだった。体育館に人が入ってきた。
一色さんだ。
手には1枚の紙を持ち、僕を睨む。
「これ、何?」
「えっと」
何って言われても、僕も覚えがない。
洋一郎はその紙を受け取り、ふむふむ、と言って「うわ、流石だなぁ」とわざとらしい演技をした。
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