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「流石、司だ。決闘を申し込むなんて」 困った。僕はこの状況が理解できていない。 洋一郎が紙を渡してくる。 僕は慌ててそれを見る。 『君より僕の方が運動神経が良い。もし僕がそれを証明できたら、付き合って欲しい』 洋一郎・・・。 「やって」 「え?」 「それに乗って、何かやって見せて」 いやいや、無理に決まっている。 そもそもまだ膝で立つことも出来ないのに。 それに、何か怒っている。もしかして、自分より劣っていると言われたから? そうだとすると、中々の負けず嫌いだ。 「頑張れ!」 本当、こいつの事が嫌いになりそうだ。 僕は覚悟を決め、一つ深呼吸をする。 バランスボールに手をつく。 そして、膝を載せた。 両手でボールに触る。揺れる。 で、ここで・・・。 僕は左右に手を伸ばし、バランスを図った。 思わず洋一郎と馬場ちゃんを見る。 二人とも口を開け、そして、「すげー!」と叫んだ。 僕は嬉しくなり、一色さんの顔を見る。 一色さんは眉をひそめ、僕を見た。 「えっと・・・」 僕がそのまま一色さんを見ていると「次は?」と聞いてくる。 洋一郎を見ると、「いけ」と頷く。 そうだ、何だか行ける気がしてきた。 僕は、再びボールに手をつき、右足をボールにつく。そして、立とうとした瞬間、右に転がった。 「オー・マイ・ゴッド」 洋一郎が頭に手を当て、天井を見た。 一色さんを見ると、顔を逸らし下を向いている。 え、笑った? 洋一郎が嬉しそうに目を輝かせる。 僕は複雑ながらも、少し嬉しかった。 しかしまた顔を仏頂面に戻し、「もう行くね」と振り返る。 「私、手紙で告白する男嫌いなの」 そう言って体育館を出て行った。 「なんだ、お高くとまりやがってよー」 「まぁ、あの子なりの大変さもあるのさ」 と、馬場ちゃんが言った。 「こうなったら、絶対にボールの上に立とう。 今度は、感動を!」 またこいつは演技っぽく僕にそう言った。 でも、僕も悔しい。 それに、やっぱり笑った顔が見たかった。
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