繰り返される悪夢

1/2
前へ
/94ページ
次へ

繰り返される悪夢

ほぼ壊れかけの私。 毎晩、悪夢を見るようになった。 真夜中の訪問者、それは壊れた母親が私の夢にまで訪れる。 寝ているときぐらい現実逃避したい私に何の罰だろう。 母親の布団に横たわる私。 私の太腿の上に馬乗りになる母親。 母親の手には料理包丁が握られている。その手は勢いよく振り上げられ、一気に振り落とされる。 私の両手は自由。 母親の手首さえ握ればいいだけの話。 そうすれば私は助かるはずなのに、握ることができない。 現実は雨戸で部屋は真っ暗。 だが、夢では満月の月明かりが射し込んでいる。 料理包丁の刃の部分が月明かりで反射する。光る包丁刃の恐怖で手首を握り損ねてしまう。 刺されるしかない私、包丁を振り上げる母親は笑顔だった。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

65人が本棚に入れています
本棚に追加