私に住み憑く殺人鬼

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私に住み憑く殺人鬼がささやく。 『この親を殺してしまえば、楽になれるって!!』 『ほら、今がチャンス!!殺してしまえば地獄から抜け出せるって!』 人は簡単に死なない? いやいやいや、急所を狙えば高校生の私にだって殺れるかも?! 『殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ殺れ…』 『ほら、妹が弾き飛ばされた今なら今なら今なら…殺れる!!』 この殺人鬼の連呼に私は、境界線を越えようと片足を前に出しかけていた。 その瞬間、私の心はドス黒い〚無〛の世界に一気に引き落とされる。 その私を引き上げたのは…妹だった。 弾き飛ばされても、吹き飛ばされても、喰い下がらない。何度も何度も泣きながら、両親の揉み合いに飛び込んでいく諦めない妹の姿。 妹があの時、吹き飛ばされて動けなくなっていたら、確実に私はこの手で両親を殺めていた。
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