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真夜中の電話
母親は妹だけを連れて家を出た。
私には事前に家を出ることも伝えてくれなかった。もう、高校生にもなったら言う必要もないと思ったのか。
幼い頃から、両親は不仲だったので母親の実家で過ごすことも多かった。
祖母はいつも笑顔で、母親の実家で過ごすほうが平穏だったことは覚えている。母親の実家は、祖父が若い頃に亡くなったので裕福ではなかった。
お風呂がないことは不便に思えるかもしれないが、皆で銭湯に行くのが楽しみだった。
そんな平穏な日々が数日続いていたかと思うと、突然父親が迎えに現れる。そして、父親が顔を出した翌日には家に戻っていたという記憶は残っている。
私達が小学生になっても、両親は不仲のままだった。
喧嘩の原因まではわからなかったが、喧嘩は派手に繰り返されていた。
食器は割れ散乱し、炊飯器は壊れ、電話のコードがブチ切。
毎回のように母親は父親に殴られ、いつも母親は泣いていた。
「死にたい…。」
幼少期から何度も聞かされた言葉だった。
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