それぞれの裏側です!?〜樹と莉子〜

8/9
前へ
/483ページ
次へ
そうして、朝を迎えると莉子はポツポツと語った。 ──裕福な家庭に生まれ。お嬢様と言われ。 どこへ行ってもあの間宮の家の子だと言われ窮屈だった。 その為にろくな恋愛が出来なかった。 いつ、どこで、誰が、見てるか分からなくて怖かった。いつも、上辺だけの付き合いで飽きちゃった。 実はショップカード渡したりしたの、これが初めてじゃないの。ごめんね。 でも、婚約者が居る人に渡したのは初めてだったの。 お互いに秘密を抱える者同士ならば外にバレることはない。 お父様が勝手に決めた結婚なんてもう知らない。 こんなに秘密が楽しいなんて初めて知った。 もっともっと早くこうしていれば良かった。 良い子にしてて、バカみたいだった。 だから私と一緒に堕ちよう。 私達はこういう運命なんだよ。 ね。二人なら大丈夫。 と、莉子はそう言った。 あまりにもあっけらかんと言われたので苦笑するしかなかった。 変に取り繕うよりかはよっぽどいい。 最後にはうっとりとした少女のような笑顔を向けられ、俺も運命だと思うしかなかった。 いや、もう逃げられないと思った。 そこからは麻希に出張だと偽り、同棲の話とかも有耶無耶にして莉子との逢瀬を重ねた。 つまらない麻希が莉子みたいになればいいのにと思い、戯れに莉子の職場のコスメを贈ってみたりした。
/483ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7869人が本棚に入れています
本棚に追加