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麻希はそんな事に気付くはずもなく。
莉子みたいに美人になる訳でもなく。
ただ笑うだけの姿になんだかがっかりした。
やっぱり、つまらない女だと再確認したに過ぎない。
そんな愚鈍な麻希の姿にどんどんと興味は薄れ、
莉子が婚約者のオタクとか言うやつがダサくて嫌だ。結婚なんかしたくない。
俺がいいと、俺の膝でぐずる莉子を慰めているうちに──どちらからか自然と。
いつか結婚しよう。
幸せになろうと、手を取りあう様になった。
どうやら、莉子の婚約者は莉子に一切興味がないらしい。こんな美人な莉子を前にして何もしないとか、きっと童貞で。
名前通りに気持ちの悪いオタク野郎なんだと思った。
そして麻希は愚直に結婚を信じてる。
そんな二人だったら俺達が浮気しているなんて夢にも思わないだろう。
だから、相手が何も知らないまま。
一度は嫌々ながらも結婚してさっさと別れてしまえいいと、お互いに思うようになった。
変に婚約破棄をして浮気の事を勘ぐられても面倒。
結婚さえしとけばそれで世間体は保たれると思うし。離婚なんて別に今時珍しい事じゃないだろう。
きっと大丈夫。
俺達の未来は明るい。
そう思って、莉子との関係を続けてきて今に至る。
「莉子、俺達はちゃんと愛し合って結婚するワケ……」
言葉に出して言ってみたものの、深く眠る莉子は返事はなく。
薄暗い部屋に言葉は消えて行った。
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