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それぞれの裏側です!?〜由貴と恩師〜
僕は自室にて、畳の上で横になりぼんやりとスマホを見ながら改めて天ヶ瀬さんの事を考えていた。
風呂から上がり、浴衣一枚では少し肌寒いと思ったが、色々と考えるのにはひんやりとした空気が丁度良い。
何しろ、天ヶ瀬さんから連絡が来ないと言うだけで、趣味の推理小説や資格の勉強に身がちっとも入らなかったのはこう、色々と。なんか色々と。
「ダメだ。ちっとも考えが纏まらない……」
はぁ、と溜息を付くと長い前髪が揺れて滴が滴りちた。
毎度の事ながら髪を拭くのが面倒臭い。今日はことさらなにもヤル気が起きない。
こうして、気持ちがソワソワする理由は分かってはいる。
それは。
「天ヶ瀬さんから連絡来ないから……。だって今は……一応まだ、本当の婚約者と会っているんだから」
そう思いつつ、視線をスマホに向ける。
スマホの画面は変わらぬまま。画面に映し出された時刻だけが21時32分。33分と変化するだけで何も電波を受信しない。
また、1分と時が進み。
もう眠ってしまおうかと思ったが頭が冴えてどうしようもない。
「もう少ししたら、何か連絡くるかもしれない」
明るい声で。
『あは。デート大丈夫でした。問題ありません。それよりもケーキがおいしくて。食べ物に罪はありませんから!』
とか、言って欲しいなと思った。
カラオケ店で見せたあの表情。
自分の事をせめて。
泣きたいのに、泣けない。
悲しいのに悲しいと言えない。
全て、押し殺して。大丈夫ですと。
無理して笑う天ヶ瀬さんの姿に、正直──心を打たれてしまった。
本人にそんな気は無かったかもしれない。
でも、僕にはそう見えた。
そんな事を思っていると、時刻は進むばかり。
少し気持ちを落ち着けようと。
こんなにも、気になってしまった理由と向き合う事にした。
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