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ラウンジの喫茶店を後にして。
喫茶店から見えていた中庭が静かで、人もさほど居ないんじゃないかと言うことで、僕達は庭に移動していた。
まだ昼前と言うこともあり、予想通り庭は人の影が見えず。歩いて居るのは僕達ぐらいだった。
緑が豊かで手入れが行き届いた中庭の端にちょうど、木陰になっているベンチがあり。そこに腰を降ろすことにした。
天ヶ瀬さんも腰掛けながら。
「樹の死刑宣告なんだけども、」
──さっきは処刑宣告だったのに。
死刑宣告にレベルが上がっている。
ヤる気は充分なんだと思って、これも特に何も言わず。話の先を聞いた。
「私は会わずに、連絡したら良いんだよね」
「そう。本当は直接会って言いたいかも知れないけど。逆上して暴力を振るってくるかもしれない。だからと言って僕と一緒に行くと、その説明は面倒で長上だし。それに本郷樹は営業職の人間だから、まずはスマホにメッセージを入れたらいい。営業職ならメッセは細かに見ると思うから」
今すぐの返事がなくとも内容に気付き次第、直ぐにアクションがあると思った。
メッセの内容は僕が毒婦に伝えたような、要点だけを短く纏めたものが良いかと思い天ヶ瀬さんに内容を伝える。
天ヶ瀬さんはそれを聞きながらスマホを握り締め、指を動かす。
その出来上がった文書をチェックしてから送信した。
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