15.種明かし

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 善吉と弥平から交互に慰められ、さくらは小さくなるしかなかった。だが悔やんでも今更状況を元に戻すことはできない。 「うむ、話を戻そう。フランスから帰ったあとどうしていたのだ」 「はい、俺たちは横浜で船の手入れの仕事をしていて。そうしたら、海軍の榎本先生が、薩長の軍と戦になるかもしれないから、開陽を出してほしいと。それで、弥平も一緒に乗り込みました」  それで榎本を知っていたのか、とさくらは合点がいった。自分の現状や立場も忘れて、さくらは善吉の話を食い入るように聞いていた。 「海上で、敵艦と戦闘になりました。こちらの方が大砲の弾もあり、戦自体は勝を得たのですが……」  善吉の顔が曇った。続きを促すように、関口が頷いた。 「港で弥平と開陽の停泊作業をしているところに、新政府のやつらが現れて、俺たちはさらわれました。なんでも、あっち側の軍艦を動かす水夫が足りないからと。当然断りましたが、刀をちらつかせられたら俺たちはどうすることもできなくて。いったん薩摩の方に連れていかれたのですが、結局慶喜公を追いかけて、江戸に」
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