不思議なギター

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不思議なギター

 勇也はすべての授業が終わると、いつも通りひとりで校門を出た。特に親しい友人もおらず、クラスでも目立たない存在だった彼は、ひとりで下校するのが日常となっていた。  そんな帰り道、ふと、おかしなことに気付く。空き地だった場所に古びた楽器店があるではないか。  あれ、いつの間に?一日で建てられたにしてもおかしい。もしそうだとしたら、なぜ建物はこんなにも古びているのだろう。勇也はそう思った。  確かに色々と不思議なところはあったが、興味をそそられた。  きっと何か珍しいものが置いてあるに違いない。  それにしてもずいぶんと古い。まさかここで、白髪でひげを蓄えた店主など出てこようものなら、きっと笑ってしまうだろう、というような、典型的な奇妙な楽器店だった。
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