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不思議なギターを抱えながら家までたどり着くと、勇也はあることを思い出した。
来月には文化祭がある。
そこでもし、自分がステージに立ち、このギターを演奏したなら、きっと学校の人気者になれる。そうに違いない。そしてみんなが称賛してくれるだろう。
やったぞ。これで自分にもたくさんの友達ができるはずだ。そう思った。
しかしまてよ。あの店主は、こうも言っていた。
「あと27日でこの不思議なチカラは消滅する。」
となると、そのあと「なぁ、もう一度弾いてみてくれよ」と言われたならどうしよう…。
まぁ、いいか。そのときはそのときで「俺はギターを弾くことは封印したのさ」とか「じつは指を痛めてて、医者から演奏を禁止されているんだ」とか、テキトーなことを言えばいいか。そんなふうに思った。
試しに勇也はもう一度ギターを抱えてみた。すると勝手に左手の指と右手が動き出し、やはり素晴らしい演奏をしてくれた。
「おぉ。すげーぞ、これ!」
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