不思議なギター

6/7
前へ
/7ページ
次へ
 不思議なギターを抱えながら家までたどり着くと、勇也はあることを思い出した。  来月には文化祭がある。  そこでもし、自分がステージに立ち、このギターを演奏したなら、きっと学校の人気者になれる。そうに違いない。そしてみんなが称賛してくれるだろう。  やったぞ。これで自分にもたくさんの友達ができるはずだ。そう思った。  しかしまてよ。あの店主は、こうも言っていた。  「あと27日でこの不思議なチカラは消滅する。」  となると、そのあと「なぁ、もう一度弾いてみてくれよ」と言われたならどうしよう…。  まぁ、いいか。そのときはそのときで「俺はギターを弾くことは封印したのさ」とか「じつは指を痛めてて、医者から演奏を禁止されているんだ」とか、テキトーなことを言えばいいか。そんなふうに思った。  試しに勇也はもう一度ギターを抱えてみた。すると勝手に左手の指と右手が動き出し、やはり素晴らしい演奏をしてくれた。  「おぉ。すげーぞ、これ!」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加