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同じ王位継承権を持つものとして、ヴァンは仲良くなろうと思っていたのだがどうやら、相手のゼール王子は友好的ではなかったようだ。ヴァンが挨拶を行うと、こちらをチラリと見やったが、それ以降は興味がないと言わんばかりにそっぽを向き、聞かれたことにのみ端的に答えていたそうだ。
そんなゼール王子の態度は幼いヴァンに恐怖心を植えつけた。
「獣人族とは、仲良く出来そうにない、かな……」
ヴァンは紅茶を一口すするとそう締めくくった。それを聞いていたシェルは悲しそうな顔をする。もし機会があれば自分も獣人国へと出向き、獣人の友達を作りたいとまで思っていたのだ。
「普段があれだとしたら、『レイガー』ってヤツはどれだけ恐ろしいんだろうな」
ヴァンの言葉にシェルもレイガーについて考えた。
人間国と獣人国の歴史を語る上で欠かせないもの。それが先にも述べた獣人族王家特有のレイガーである。このレイガーが引き金となり、多くの戦争の歴史もあった。もちろん、人間国もただ攻められるだけでは終わらない。人間国側からも獣人国に戦争を仕掛けることもあった。
そんな泥沼化した関係を持つ歴史に終止符を打つために動いたのが、現人間国国王と、獣人国国王なのである。
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