もう一度、誰かを愛せたら

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中3になり、受験生の俺たちは涼太の実家の部屋でテーブルを囲み、参考書やノートを広げている。 豊の受験する高校に俺も涼太も受けることにしたが、俺の偏差値を上回る、なかなかな難関校。 俺より勉強の出来る涼太も頭を抱えながら、豊に教わりながら問題を解いている。 「もう、これはお泊まりケースだね、頭痛いー」 涼太が天井を仰ぎ、声を上げた。 「だね、豊、ここ、わかんない」 「どこ?」 豊が肩越しにテキストを覗き込んだ。 間近に豊の顔があり、心臓がうるさい。 「....って感じ。って聞いてた?樹」 「えっ?うん、一応...」 本当は間近にある豊の顔や声にドキドキしてしまい、殆ど頭に入ってない。 また今度、教えて貰お...。 涼太のお父さんは出張中らしく、お母さんの作ってくれた夕飯を食べ、それぞれ、お風呂に入った。 勉強で頭を使いすぎ、眠すぎて、瞼を擦る。 「樹、眠たそ。寝ちゃってもいいよ?」 「んー...でも、もう少し」 豊と同じ高校に行きたいから。 同じ制服を着たいから。 そして...高校に無事、受かったら、豊に告白するつもり。 断られたら怖いけど。 友人のままでいた方がいいのか、ずっと悩んだ。 この関係まで壊れるくらいなら...友人として、付き合っていた方がいいのかな、て。 でも、 「後悔するよ、いつか絶対」 涼太がそう言ってくれたから。 暫くし、流石に我慢していたけど、眠気がピークに達した。 時計を見たら、21時すぎ。 「ベッド使っていいよ、樹」 「え、でも...」 「俺たち、まだもう少し勉強するし、気にしないで」 涼太にそう言われ、 「じゃ、ちょっと仮眠する」 涼太のベッドを借りて眠ることにした。 瞼を閉じてはみたけど、いざ、寝ようとすると、困ったことに、枕が変わると寝付けない自分。 2人は未だ、カリカリとシャーペンの音を立てながら、寝てる俺に気遣って音量を下げ、会話してる。 「...ねえ、アレしようよ」 「駄目だよ、樹、いるじゃん」 「樹、寝てるし、いいじゃん」 豊から始まった会話を背中越しに聞き、瞬きを繰り返す。 いきなり、俺の名前....? 「勉強、捗らないからさ、涼太、頼むって」 かなり声を抑えた豊の声。 「んー...仕方ないなあ」 「涼太だってしたい癖に」 途端、2人が小さくクスクス笑う。 と、同時にファスナーを降ろす音がした。
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