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「あぁ、そうだ。けれども、最近妻とはあまり上手く行っていない。娘も多感な時期で俺に構っている時間は無い。だから、パパ活に手を出したんだ。」
「IT会社の社長でも、悩みはあるんですね。アタシだって悩みがあるぐらいですから、社長の悩みなんてアタシより抱えてそう。」
「そうだな。部下からの信頼とか、会社の経営状況とか、悩みは尽きない。だからこそ、パパ活で悩みを有耶無耶にしたいという気持ちはあるんだ。」
「なんだか、隆一さんらしいですね。」
エレベーターのアナウンスがスカイツリーの展望台に到着したと告げる。
スカイツリーの展望台からは、関東の夜景が一望できた。
「わぁ!きれい!」
「早苗、最近東京の夜景を見たことがないと言っていたな。今日は天気もいいし、東京のみならず関東平野まで見通せそうだ。」
「もうこれだけで満足ですよ!なんだか、得しちゃったな。」
「そうか。その言葉を聞いて、俺は安心したよ。でも、お前に用意してあるのは夜景だけじゃない。六本木の一流フレンチの予約も取ってあるんだ。」
「本当に!?隆一さんって、本当に気が利く人なんですね!」
「そうだ。じゃないと会社の社長は務まらない。」
そう言いながら、2人はスカイツリーの麓へと戻っていく。
駐車場に停めていた赤いポルシェが、隆一の愛車である。
「すごい!本物のポルシェだ!」
「もちろん、一括で購入した。具体的な金額は明かせないが、宝くじで1等が当選した時と同じぐらいの金額だと思えばいい。」
「宝くじで1等・・・。気が遠くなりそうです。」
隆一はポルシェを走らせ、六本木へと向かっていく。
六本木のフレンチレストランに着いたのは、19時30分頃だった。
「すごく高そうなお店ですね・・・。」
「安心しろ、ここは俺のお墨付きの店だ。味は保証する。」
次々と出される料理に、早苗は舌鼓を打っていた。
「このお肉、とても美味しいですね!今まで食べたことが無い感触です!」
「それはラム肉。羊のお肉だ。羊の肉は希少価値が高いから、ゆっくりと味わうんだな。」
「うんうん。」
早苗の笑顔に、隆一は心惹かれそうになっていた。
このままラブホテルへと連れて行くべきか。
キッパリと早苗に別れを告げるべきか。
隆一の答えは、ただ一つだった。
「なぁ、早苗、俺とホテルにいかないか。」
「もちろん、隆一さんのテクニック、少し気になります。」
「妻とはマンネリ気味だが、お前となら上手くやれるような気がする。もちろん、ゴムは着けるから安心しろ。」
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