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英雄に至る旅
数年後、少年は魔物に困っている人々を
助けるべく旅に出ることに決めました。
家族は少年を応援し、村人たちも総出で
少年の旅立ちを祝いました。
出発の日、村人全員が見送りに来てくれ、
その中には少年が恋した少女もいました。
目立つ黒髪を見つけると、少年は少女に駆け寄って、もう一度好きだと伝え、
旅について来てくれないかと言いました。
少女はまた困ったように笑うだけでした。
少年は、少女が自分に恋心がないことは
分かっていました。
それでも、少女を諦めきれませんでした。
少女が時々恋する乙女のような顔をするのを
少年は見ていました。
誰かと結ばれる少女を、見たくありませんでした。
そんな少年の心中を知ってか知らずか、
少女は困った顔のまま
「英雄になって帰ってきて、
私を迎えに来て。そうしたら、良いよ」
少年は、その言葉に希望を見いだし、
「なら、魔物を打ち倒して英雄になって
旅を終わらせて帰ってくる。
その時は、僕と結婚してほしい」
と、言いました。
少女は、“いいよ”と返しましたが、
相変わらず困った顔のままでした。
少年は、少女の言葉を胸に
気合いを入れて旅立ちました。
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