店長

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店長

 気が付けば例のごとく、廼宇の目覚めを脇より眺める暁士がいる、……なあ。と認めながらも、身体じゅうに様々な痕を残して夢うつつの廼宇である。  その身体を更にまた例のごとく朝から弄り、やりすぎなほどに廼宇を起こして悦に入った暁士だが、朝餉ののちには急ぐように姿を消した。元怜のあの様子では、余程やるべきことがたまっているのだろう。  多忙であるのみならず、共に行くような間柄にはしたくはないのやもしれぬ。  若い店長ゆえに、店員たちには隙を見せたくないはずだ。俺の店ではあるが形式上は店主、つまり店自体の所有者は別に立てているとも言っていた。それも若さゆえだろう。  汎材在店の店主かつ店長の汎儀様は番頭や下働きにまで気さくな方だったが、暁士様はいかなる店長として振る舞うものか。……そのような興を汲んでか知らずか、朝餉の折に暁士が説いた。 「俺は店長と言っても店を抜けることも多い。店長代理の緑如についていればよい」 「承知致しました」  暁士のもとの人材はいずれも素晴らしい。このように言うからには、やはり頼れる者には違いない。
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