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「……あやつは、良き者か?」
抑えた声で暁士は続けた。
「はい。最後には捕り物の夜のことも語り合い、忌憚なき間柄となりました」
「捕り物の夜?」
「私がその……例のごとくと申しますか、黄暫様が私を追った方だと気づいてしまい。私は路地から助けていただいた礼を言い、黄暫様は斬りつけと捕縛について詫びてくださいました。……黄暫様に落ち度はないのに」
「初耳だ……あの野郎。……ではお前としても遺恨はないのだな」
「もちろんです。大変に信のおける方かと存じます」
「………………」
「………………あっ」
いきなり背に、布ではない柔らかなものが這った。湿り気のある……舌。
そのまま首元へと動いたならば、背後にて舌の主が立ち上がり半身ごと抱きすくめて耳を襲う。
前へと絡む手が廼宇の胸を無体に撫でつけ、指間にて乳先を射止めた。
「こ、黄暫様は」
「その名はやめろ」
耳孔に息がかかり、胸の指がひとしきり乱れる。
「……かようなことは……されませぬ」
思わず放った言を閉ざすがごとく、首を上げられ口にて口が塞がれた。中まで乱暴に舐り尽くしてから離れ、なぜか断じる。
「いや。次には、やる。次の折あらばきっと」
「……は?」
暁士の手は胸から腹前を荒々しく動き回り、やがて下腹にてふと止まった。
「はぁっ……」
「……まさか。いつもこれなのか」
「……まさか。……暁士様ゆえに、です。医院では思いもよらぬこと」
「だが、……これほどに」
抑えた声とは対照に、鮮やかに激しく指が動く。
「……か、かようにされては……。……いえ……背に指ひとつ触れた折から……もう、……暁士様ゆえに。……暁士様。…………暁士様っ」
弄ばれて、息を乱して名を呼ぶなどは本意ではないと思いつつ。
思いつつも、呼ぶごとになお狂おしく、愛おしく。
「……背は終わりだ、寝台へ寝ろ。前をやる」
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