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…………夕餉の後の、寝台の上。
腹もくちて、くたりとした廼宇である。
だが当然のように暁士も添い寝し、手すさびにと目前の身体を撫でまわす。
「…………」
「そう警戒するな。今宵はこれ以上は致さぬゆえ。身体も疲れたことだろう」
……疲れましたとも。
清拭と称し背後から襲われたのちは寝台にて、手拭のみならず手と口までもが存分に肌を下腹をと這いずりまわり、乱されて。
かたや着衣のままの暁士の下でついに果てれば、次は湯浴みだ。
脇にて素知らぬ顔で脱ぎだした暁士を慌てて留めれば、おおそうか、共に入るはまた次の悲願としよう。湯室は勝手が違って無体をしたら怪我元に障るやもしれぬ、などと勝手な解釈を自らに熱心に説くようだ。お預けをくらう獣のごとき目つきのままに帯を直した。
湯室にて、ほおっと。やっと、ひと息。
外で女中を呼ぶ鈴音が鳴った、と思う。
湯を終えて部屋に戻れば、肉団子と梨が山と届けられていた。そういえば朝餉が遅かったゆえに忘れていたが、今ではかなり空腹だ。
「俺も朝餉以来だからな」
獣だった目が人らしくなり、ぱくぱくと肉団子を口に放る暁士に色欲以上の食欲を見た気がして妙に安堵し、廼宇もつまんだ。
「職では昼前は上がらないのですか?」
「食べるさ。常には」
「?」
「今日は一刻も早く戻るからと、飛ばした」
……で、戻れども食さず湯を使い、そしてこの部屋に来て、あの流れ。
なんだ、やはり色欲優位か。
と、見る間に。
「いや。……湯上りのお前を前に食べ続けるなど、愚かの極みだな」
行事悪くぺろりと指を舐め取った。
寝台に乗ってぽんぽん叩き廼宇を呼ぶ頃には、すっかり先の獣に戻っていた。
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