お人形遊び

3/4

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
 ネロの頭は真っ白になる。  言葉は理解できるが、話の脈絡がなさすぎる。 「なぜ、とか。どうして、とか。考える必要はないわ。あなたはわたしのオモチャ。ただ黙って言うことを聞けばいいの」  「おわかり?」と首を傾ける少女に、ネロは微塵も同意できない。 「……っお断り、します」  その瞬間、風を切った平手が、ネロの右頬に飛んできた。  パン、と乾いた音を鳴らし、彼の白い頬に赤く小さな紅葉を作る。  放心状態のネロに、アリーチェは「あなたバカなの?」と心底呆れながら言った。 「もしわたしの命令に従わないなら、パパにあなたにエッチなことされたって嘘つくから。この意味、分かるわよね?」  ネロの顔は真っ青になり、ブワッと汗が噴き出す。  殺される。決して楽に死ねはしないだろう。  最悪な結末が、脳裏をよぎった。 「……お嬢様の仰せのままに」  とうとう彼は首を縦に振った。  天使のような愛らしい笑顔で、マフィア顔負けの脅し文句を言えるのは世界広しといえど、この少女くらいなものだ、と思いながら。  ネロはベッドに腰かけ、自分の衣服に手をかける。  上着、白シャツのボタンを外し終えると、上半身が露になる。  その様子を目の前の椅子に腰かけ、見物していたアリーチェが呟く。 「想像していたより、ずっと綺麗ね。マフィアの下っ端だから、傷跡びっしりのグロテスクなものだとばかり」 「お褒めに預かり光栄です。でしたらこれで勘弁していただけないでしょうか」 「冗談を。ここからがお楽しみでしょう」  淡い期待を砕かれ、ネロは内心舌打ちをする。 (こんなガキの前でストリップショーの真似事とか、ある意味拷問だろ)  ズボンのベルトに手をかけたまま動かないでいると、13歳とは思えない語彙が飛ぶ。 「さっさと下も脱ぎなさい。恥ずかしいの? 処女じゃあるまいし」 「まさか。俺の下半身を見て、美しいお嬢様の目が穢れてしまわないか心配しているだけです」 「余計なお世話よ。あなたは頭じゃなくて手足を動かせばいいの。……それとも、今からパパを呼ぶ?」  最後の一言はネロを動かすには最強の原動力だ。  彼は慌ててズボンとトランクスを脱ぎ捨てた。  露になった裸体を、アリーチェは品を見定める鑑定士ばりに穴があくほど見つめる。  ネロは両親と一度も会ったことはないが、母親が日本人の娼婦だったことは知っていた。  その血を色濃く受け継いだのが彼の容姿からでも明確に分かる。  うねりのない絹の黒髪。  闇に生きる黒い瞳。  少年の面影が残る幼い顔立ち。  女性も羨む、滑らかで白い肌。  屈強な体と暴力的な思考を持つこの組織では、その容姿は好奇の的だった。  だが4年間無事でいられたのも、彼が狡猾で、ひとえに食えない人物であるからだ。  そのネロを食すのは、可憐な少女。  アリーチェは再びネロを押し倒し、彼の薄いピンクの乳首に舌を這わした。 「っあ、ひぁっ……! やめ、なんで……お嬢様!」  アリーチェは子猫のようにチロチロと胸の突起を舐め回す。右が終われば左も同じように。 「うぅ……いや……」  ネロはベッドのシーツに両手をつかみ、体をプルプルと震わせ、耐える。  温かく湿った舌が胸を這いずるのは、気持ち悪くて、こそばゆい感覚だ。  相手がボスの娘じゃなければ、とっくに蹴り倒している。  赤子のようにちゅうちゅうと吸われた突起は、コリコリに硬くなっていた。  甘噛みすると、敏感になったネロの体がのけぞった。 「ひぅっ……!」 「ふしぎよね、おっぱいって。男にも女にもついてる。知ってる? ここを開発すれば、男も感じちゃうんだって」 「んあっ――――」  ピンとはった突起をつねられ、上ずった声を発した。  そのまま円を描くように弄られたり、人差し指と親指でこすられたりして、だんだん快感になっていくソレから逃げるように、ベッドからはみ出た足を伸ばしたり、曲げたりする。 「……っもう、お戯れは……やめてください」 「そうね。面白い表情も見れたし」  やっと解放される。  そう思い、安堵していたネロに、思わぬ刺激が与えられる。  なんと、アリーチェの握っていた乳首が、彼の股間についたモノに移動した。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加