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ネロの頭は真っ白になる。
言葉は理解できるが、話の脈絡がなさすぎる。
「なぜ、とか。どうして、とか。考える必要はないわ。あなたはわたしのオモチャ。ただ黙って言うことを聞けばいいの」
「おわかり?」と首を傾ける少女に、ネロは微塵も同意できない。
「……っお断り、します」
その瞬間、風を切った平手が、ネロの右頬に飛んできた。
パン、と乾いた音を鳴らし、彼の白い頬に赤く小さな紅葉を作る。
放心状態のネロに、アリーチェは「あなたバカなの?」と心底呆れながら言った。
「もしわたしの命令に従わないなら、パパにあなたにエッチなことされたって嘘つくから。この意味、分かるわよね?」
ネロの顔は真っ青になり、ブワッと汗が噴き出す。
殺される。決して楽に死ねはしないだろう。
最悪な結末が、脳裏をよぎった。
「……お嬢様の仰せのままに」
とうとう彼は首を縦に振った。
天使のような愛らしい笑顔で、マフィア顔負けの脅し文句を言えるのは世界広しといえど、この少女くらいなものだ、と思いながら。
ネロはベッドに腰かけ、自分の衣服に手をかける。
上着、白シャツのボタンを外し終えると、上半身が露になる。
その様子を目の前の椅子に腰かけ、見物していたアリーチェが呟く。
「想像していたより、ずっと綺麗ね。マフィアの下っ端だから、傷跡びっしりのグロテスクなものだとばかり」
「お褒めに預かり光栄です。でしたらこれで勘弁していただけないでしょうか」
「冗談を。ここからがお楽しみでしょう」
淡い期待を砕かれ、ネロは内心舌打ちをする。
(こんなガキの前でストリップショーの真似事とか、ある意味拷問だろ)
ズボンのベルトに手をかけたまま動かないでいると、13歳とは思えない語彙が飛ぶ。
「さっさと下も脱ぎなさい。恥ずかしいの? 処女じゃあるまいし」
「まさか。俺の下半身を見て、美しいお嬢様の目が穢れてしまわないか心配しているだけです」
「余計なお世話よ。あなたは頭じゃなくて手足を動かせばいいの。……それとも、今からパパを呼ぶ?」
最後の一言はネロを動かすには最強の原動力だ。
彼は慌ててズボンとトランクスを脱ぎ捨てた。
露になった裸体を、アリーチェは品を見定める鑑定士ばりに穴があくほど見つめる。
ネロは両親と一度も会ったことはないが、母親が日本人の娼婦だったことは知っていた。
その血を色濃く受け継いだのが彼の容姿からでも明確に分かる。
うねりのない絹の黒髪。
闇に生きる黒い瞳。
少年の面影が残る幼い顔立ち。
女性も羨む、滑らかで白い肌。
屈強な体と暴力的な思考を持つこの組織では、その容姿は好奇の的だった。
だが4年間無事でいられたのも、彼が狡猾で、ひとえに食えない人物であるからだ。
そのネロを食すのは、可憐な少女。
アリーチェは再びネロを押し倒し、彼の薄いピンクの乳首に舌を這わした。
「っあ、ひぁっ……! やめ、なんで……お嬢様!」
アリーチェは子猫のようにチロチロと胸の突起を舐め回す。右が終われば左も同じように。
「うぅ……いや……」
ネロはベッドのシーツに両手をつかみ、体をプルプルと震わせ、耐える。
温かく湿った舌が胸を這いずるのは、気持ち悪くて、こそばゆい感覚だ。
相手がボスの娘じゃなければ、とっくに蹴り倒している。
赤子のようにちゅうちゅうと吸われた突起は、コリコリに硬くなっていた。
甘噛みすると、敏感になったネロの体がのけぞった。
「ひぅっ……!」
「ふしぎよね、おっぱいって。男にも女にもついてる。知ってる? ここを開発すれば、男も感じちゃうんだって」
「んあっ――――」
ピンとはった突起をつねられ、上ずった声を発した。
そのまま円を描くように弄られたり、人差し指と親指でこすられたりして、だんだん快感になっていくソレから逃げるように、ベッドからはみ出た足を伸ばしたり、曲げたりする。
「……っもう、お戯れは……やめてください」
「そうね。面白い表情も見れたし」
やっと解放される。
そう思い、安堵していたネロに、思わぬ刺激が与えられる。
なんと、アリーチェの握っていた乳首が、彼の股間についたモノに移動した。
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