11人が本棚に入れています
本棚に追加
『京子のために、その3! クロスカウンター!』
心の声!
「このー! くそぼっこがあああ!」
私はそう叫んで、ハサミンの左パンチに向かって腕がクロスするように、右のパンチを出した。相打ちのようだが、相手の打ってくる勢いを利用して腕を交差させてカウンターパンチをする。恐るべき威力のパンチ、クロスカウンター。
私のクロスカウンターパンチが決まった。ハサミンは、うんともすんとも言わずその場に崩れ落ちた。
私も、パンチこそ食らわなかったが緊張の糸が切れて、その場に崩れ落ちた。
「山下先生!」
は! その声は前島先生。
ここは? 職員室……。
「山下先生よう寝とったなあ。だいじょうぶな?」
私は、椅子からずり落ちていた。
やっと、夢から覚めたか……。
ほっとした私は、起き上がって髪と服を確認した。
額を隠す前髪もあるし、服は切られた跡もなかった。
恐ろしい夢だったけど、目覚めは清々しい。
「前島先生、大丈夫です。本当に目が覚めました!」
「は? そ、そう。そりゃよかった。なんか、ほんまに元気になったみたいやな」
「はい。ありがとうございます」
時計を見る。午後3時30分だった。
最初のコメントを投稿しよう!