山下京子、生物教員28才只今授業中。

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『京子のために、その3! クロスカウンター!』  心の声! 「このー! くそぼっこがあああ!」  私はそう叫んで、ハサミンの左パンチに向かって腕がクロスするように、右のパンチを出した。相打ちのようだが、相手の打ってくる勢いを利用して腕を交差させてカウンターパンチをする。恐るべき威力のパンチ、クロスカウンター。  私のクロスカウンターパンチが決まった。ハサミンは、うんともすんとも言わずその場に崩れ落ちた。  私も、パンチこそ食らわなかったが緊張の糸が切れて、その場に崩れ落ちた。 「山下先生!」  は! その声は前島先生。  ここは? 職員室……。 「山下先生よう寝とったなあ。だいじょうぶな?」  私は、椅子からずり落ちていた。  やっと、夢から覚めたか……。  ほっとした私は、起き上がって髪と服を確認した。  額を隠す前髪もあるし、服は切られた跡もなかった。  恐ろしい夢だったけど、目覚めは清々しい。 「前島先生、大丈夫です。本当に目が覚めました!」 「は? そ、そう。そりゃよかった。なんか、ほんまに元気になったみたいやな」 「はい。ありがとうございます」  時計を見る。午後3時30分だった。
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