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それぞれの役割確認と報告を終えると、リーダーのエイジが真っ先に立ち上がった。
「それじゃあオレとナオ、ダイチは今から放送室な。花恋とブラックはとりあえずお疲れ。後は見守ってて」
エイジの不敵な笑みを合図に、誰からともなく互いに視線を交わし、微笑み合う。
ふと頭を過ぎったのは、これまで5人でやらかしてきたイタズラの数々。そして、この計画が成功した瞬間に沸き起こるであろう混乱やざわめき、歓喜の声、満足感。
他の4人は――諒太は、何を想像していただろうか。
「みんなの後悔は、“オレ達で”。な、ブラック」
「……しつこい」
眉間にシワを寄せる諒太を全員で笑い、二手に別れて屋上をあとにする。
――もう二度と、屋上へ来ることもない。
後ろ髪を引かれて振り返ると、1番後ろを歩いていたのをいいことに、誰もいないそこへ笑いかけてしまった。
「それ図書室に返すんだっけ?」
「うん。そう、だけど――」
スニーカーだった諒太に付き合って昇降口まで戻って来ると、彼は当然のように図書室がある管理棟へと歩き出した。どうやら、諒太も私に付き合ってくれるらしい。
「……ねぇ、ブラック」
「ブラックよりブルーがいい」
本当にコイツは、いちいち面倒くさい。
「ねぇブルー。渋ってた最後の一人、どうやって出演許可とったの?」
「それは言えねぇなぁ」
「なにその喋り方。言えない、って何したのさ」
私の素朴な疑問に、ブラウン色の髪の狭間から、切れ長な瞳がこちらを見下ろす。
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