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なんでこんな悲しい事を自分で言わなきゃいけないんだ。
でも実際その通りだ。
ゲームではカペルの婚約者は出てこなかったけど、確か記憶が正しければ、まともに会ったこともない令嬢だったと思う。
だからカペルのルートでは主人公に嫌がらせするような人は居なかったはず。
簡単に婚約解消してたし、簡単に結婚してた。
まあ、その時から推しなんだけど。
クールで冷たく感じるのに、何だかんだ放っておけなくて助けてくれるカペルが前世でも好きだった。
何度ベッドの上で悶え苦しんだ事か。
……あれ?
もしかして、その姿を確認出来てない婚約者が私って事はないか?
だとしたら、婚約者になっても婚約破棄されるのでは!?
そんなのめっちゃ辛いんだけど!?
「レイラがカペルと結婚したら、私達ずっと一緒に居られるのね!」
「え……」
「だってそうでしょう?レイラが辺境の地の殿方と結婚したり、ましてや他国の方と結婚したら私達簡単に会えなくなってしまうわ。そんなの寂しい」
「ティアナ……」
「ね、カペルもそう思うでしょ?レイラが他国の方と結婚するの嫌よね?」
ティアナがカペルにそう聞く。
カペルは少し考えてから私を見た。
綺麗な顔でこっち見ないで、心臓痛い。
「例えシルヴァ伯爵が他国と交流を持ちたいと思っても、娘であるレイラを使うとは思えない。でも万が一そうなってしまったら、俺は何がなんでもレイラを奪い返すと思う」
「え!?」
カペルにそんな事を言われて喜ばないわけないでしょ。
驚きで固まっているとティアナとクラウスがくすくす笑った。
「レイラは鈍感ですからね。多少強引に動かなければ気づきもしません」
「何それ……」
「カペルは君と婚約する気満々ですよ、という意味です」
ああ……嬉しいけど……
最終的に打ちのめされるやつじゃないか。
心がズタボロにされるやつやないか。
フォークを握り締めて俯いているとカペルが私の顔を覗き込んだ。
「何?そんなに俺と結婚するの嫌?」
「ち、違っ!ただ……」
「ただ?」
「……ううん、なんでもない」
言えるわけない。
『どうせカペルは私を捨てるから』なんて。
捨てられるなら、いっそ婚約なんてしたくない。
でも少しでもカペルの婚約者になれるんだよ?
そんな嬉しい事ないでしょ。
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