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「……じゃあ、タイトルは『モブだった天才姫』かな」
「何それ、売れなさそう」
「酷いな、カペル」
二人で顔を見合わせて笑いあう。
すると再び部屋がノックされて、今度はクラウスとティアナが入ってきた。
「やあ、少しお邪魔するね」
「カペルも来てるって聞いて、せっかくなら4人で一緒に出掛けないかってクラウスと」
幸せそうに微笑む二人。
もうジェシカの事を気にしなくて良くなってホッとしている様子。
「ティアナ!!」
ティアナに抱き着くとクラウスが苦笑いした。
「相変わらずティアナの事が大好きだね、レイラは」
「ティアナは私の天使」
「ありがとう、レイラ。私も大好きよ」
「ああ、ティアナ。久しぶりのティアナだ」
最近王妃教育でお城に閉じこもりっきりだったティアナに会えなかった反動で強く抱き着く。
カペルはため息をついた。
「またティアナにレイラ取られた」
「ごめんなさい、カペル。でも私にもレイラを貸してね。いつも貴方ばかりだと私嫉妬しちゃうもの」
クスクス笑うティアナに再びため息をつくカペル。
クラウスはそんな会話を聞きながらニコニコしていた。
「出かけるって言ったっけ?どこ行くの?」
カペルの質問にクラウスが口を開く。
「街にチョコレートの店が出来たって聞いて、レイラが行きたいんじゃないかってなってね。ティアナと相談して来たんだ」
「チョコレート!?食べたい!」
「食べ物のことになると瞬間で飛びつくね」
クラウスは苦笑いしながら地図を見せてくれた。
ここから近い場所にあるお店。
私達はそこへ向かうことにした。
4人で歩いていると、小さいときにキャンディーショップへ行った時のことを思い出す。
こうやって4人で一緒に買い物に行くって、最近なかったからな。
お店に入るとクラウスを見た店員さんが頭を下げた。
「これはクラウス殿下!それに、クリスティ統括の娘様に騎士団長様の息子様、そして……シルヴァ家の天才姫様まで!この国の偉大な4名様にお越しいただけるとは、至極光栄にございます!」
「そんなに緊張しないでください。僕たちは買い物に来ただけですので」
「ああ、なんと喜ばしい事か!」
お店の人とやり取りしているクラウスの隣で沢山のチョコレートを見つめる私。
どれもキラキラして美味しそう!
「わあ!猫だ!猫がいる!」
猫型のチョコレートに釘付けになっていると店員さんが笑顔で話してくれた。
「はい、そのチョコレートは当店の看板にもおりますキャラクターを模したものになります。少しビターなチョコレートとなっておりますが、天才姫様、いかがでしょう?」
「欲しいなぁ……、ああ、でも、このトリュフも美味しそう……」
この店のチョコレートをすべて買うというのは流石にお父様に怒られるだろうか。
あの時のキャンディーショップでカペルに買ってもらった大量のキャンディーも、カペルから貰ったと言わなければ怒られていたから。
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