モブだった天才姫

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それから数年の月日がたった。 無事に学校を卒業した私達はそれぞれ結婚して、それぞれの生活を送っている。 カペルと結婚して毎日が幸せに満ち溢れている。 クラウスも無事に王位を継いでティアナも王妃殿下になった。 国民に祝福されている二人を見ているだけで涙が止まらなかったのはいい思い出。 「おかあしゃま!」 「おかあしゃまー」 私に走ってくる小さな二人。 私とカペルの子供、双子のルカとリンだ。 元気な女の子の方がルカ、大人しい女の子の方がリン。 二人ともカペルに似て美形だなー、かわいい。 「私の天使たちー!」 二人をぎゅっと抱きしめると小さな手で抱きしめ返してくる。 癒し……。 「おかあしゃま!フィンのおたんじょーび、これあげりゅー!」 ルカが私に見せてきたのは四つ葉のクローバー。 フィンとはクラウスとティアナの子供であり、王子様だ。 この子達からすれば幼馴染であり、とても仲良しな同じ年齢の子。 「あんね…あんね……、わたし、これ、あげりゅの」 リンが綺麗な花を見せる。 二人ともとても可愛いが、確実に誕生日までに枯れる。 その時の二人の悲しそうな顔は見たくない。 これはどうするべきか……。 「んー、二人のプレゼントは喜んでもらえそうだけど、ちゃんとセオドアくんに相談した?」 セオドアくんはアルベルト様の子供だ。 私がアストロベガ城へ仕事で行く時に二人も仲良くなって、それからフィンくんとも一緒に遊ぶようになった。 昔の私たちのように、彼らは仲良しの幼馴染だ。 「セオは、ほんあげりゅって!」 「じゃあ、そのクローバーとお花、栞にしようか」 「しおり……?」 「本に挟むものだよ。そのままだったら枯れちゃって、フィンくんも悲しいだろうから、枯れないようにしようか」 「しゅりゅー!!」 「しゅりゅ…」 二人の手をつないで部屋に戻る。 レオとマナが二人の手を拭いて、小さな台を用意した。 「レオー、るーちゃん きょう ひとりでおきれたー!」 「それは良かったですね、ルカ様。明日も頑張りましょう。頑張ったらご褒美にキャンディーをあげます」 「がんばりゅー!」 「マナちゃ…わたし、クッキー ちゅくりたい……」 「分かりました。じゃあ今日は一緒にクッキーを作りましょうね、リン様」 「っ!う、うん」 二人はレオとマナが大好きなようで、二人には特に懐いている。 二人の安全を守ってくれてるし、懐いてくれて良かった。 「それじゃあ、お母さんのしている事見ててね」 そう言って私はクローバーと花をドライフラワーにしていった。 ・
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