モブだった天才姫

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夜になって、二人を寝かしつけたレオとマナは私とカペルに頭を下げて部屋を出た。 騎士団の隊長として国の平和を守ってるカペル。 相変わらず彼は外へ出れば騒がれる。 「今日、フィン殿下にリンをお嫁さんにしたいですって言われた」 「あはは、相変わらずフィンくんはリンを好きでいてくれてるね」 「いや、別にいいんだけど。まだ早いと思うのは俺だけか?お互いがいいならいいんだけど」 「リンはまだ分かんないだろうね。ようやく喋るようになったし」 「ルカは……まんま、昔のレイラだもんな」 「ええ!?私、あんな天真爛漫だった!?」 「今もだろ」 「嘘だ!!」 「誕生日に寒波について自分の親に詰め寄ったり、思いついたことやろうとしたり……ルカと同じ」 「いや、ルカにシルヴァの血は受け継がれてないよ。あの子、社交的ではあるけど勉強嫌いだし」 「どっちかというと、リンの方がシルヴァ家の血を受け継いでる感じだもんな。知りたいと思ったことに貪欲っていうか」 「双子でもこうも性格違うもんなんだね。まあ、どちらにせよお父様は二人にデレデレだから何でもいいんだろうけど」 「……俺、伯爵とか父さんとかがあんな顔するの初めて見た」 「私も」 双子を見た瞬間のお父様や公爵の顔は今まで見たことがないようなくらい蕩けている。 欲しいものを何でも買い与えるのやめてほしい。 「フィン殿下の誕生日会、二人ともプレゼント決まったわけ?」 「四つ葉のクローバーと花だったから、とりあえずドライフラワーにした」 「ああ……枯れるもんな」 「カペルにも見せるって意気込んでたけど、帰ってくる前に寝ちゃってね」 「そっか。今度見せてもらうよ」 「そうしてあげて。明日も頑張って一人で起きるって息巻いてたから」 「それは楽しみ」 カペルはそう言って私の頭を肩に引き寄せた。 「じゃあ、こっからはレイラを甘やかす時間」 「じゃあ、カペルに甘える時間だね」 カペルに抱き着いてカペルの匂いを自分に充満させる。 ああ……幸せ。 「ねぇ、カペル」 「何?」 「……家族、多い方が楽しいと思いませんか?」 私がそう言うとカペルが私の顔を上げた。 「奇遇ですね、俺も同意見です」 カペルは意地悪く笑うとそのまま私にキスをした。 ・
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