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フィン殿下の誕生日当日。
出来上がったドライフラワーで作った栞をフィンくんに渡す二人。
嬉しそうなフィンくんを見て二人も嬉しそうにしていた。
アルベルト様と奥様のオリヴィア様も来てくれているので、セオドアくんも一緒に遊んでいる。
「本当に、4人とも仲良しだな」
ティアナが相変わらず天使の微笑みで子供たちを見ている。
「昔の僕たちみたいだね」
クラウスの言葉にティアナが微笑んだ。
「俺は皆が羨ましいな。俺も幼馴染みたいな存在がいれば楽しかっただろうけど」
「今はアルだって私達の友達じゃん。アストロベガ城の城主になったとはいえ、私からすれば昔も今も大事な友達」
「レイラは昔から変わらないね」
アルはそう言って笑った。
アルと仲良くなって、クラウスもティアナもカペルも壁を作ることなく接している。
まるで昔から友達だったかのように。
オリヴィア様も嬉しそうに話を聞いてくれている。
「そういえば、セオドアがレイラの話を聞いて興味を持ってたんだ。今度薬の作り方教えてあげてくれる?」
「未来のアストロベガ城の城主に私が教える?そんな恐れ多い事絶対に無理」
「何をいまさら。レイラは怖いもの知らずでしょ」
「アル、ちょっと私をなんだと思ってるの」
不満を前面に顔に出しているとクラウスもティアナも笑った。
「アル、あまり俺の妻をいじめないでくれ。拗ねると機嫌を戻すのに時間がかかる」
「カペル!?」
「あはは、ごめんね」
楽しそうに笑う皆を恨めしく見る私。
だんだん可笑しくなってきて、私も一緒に笑った。
ゲームの世界に転生して、何とか未来を変えようと頑張って。
ゲームで迎えたエンディングの先を生きている私。
これからは何も分からない。
それでも、きっとみんなとだったら大丈夫だって思える。
モブだった天才姫は、もうどこにもいないのだ。
いつまでもこうやって幸せが続きますように。
そう願って、今日も私は生きていくのだった。
~END~
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