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「本当にありがとう」
「ティアナ」
「私、怖かったの。お母様がこのまま居なくなってしまうんじゃないかって本当に怖くて……。でも、レイラの言葉はとても不思議で安心できる。本当にそうしてくれるって思えるの。貴女は本当に、私の神様よ」
優しい彼女を助けたい。
素直にそう思う。
だって私はティアナが好きだもん。
クラウスの事だってカペルの事だって大好きで、大切な彼女達に何かあれば私の方が気が狂ってしまうんじゃないかって不安になるくらい。
どれだけしんどくても、ティアナの運命を変えられるのならなんだってやる。
「もう少し様子を見て、何事もなければ家に帰れるよ」
「ありがとう、レイラ」
彼女のこの笑顔のためならなんだってやる。
彼女が私を助けてくれたように、彼女が私を好きだって言ってくれたように。
彼女が悪役令嬢になる未来は阻止する。
夫人の熱も治り、完全に体力も回復したので3人は屋敷へ戻って行った。
お父様とお兄様は私の作った薬を陛下に見せ、私は薬師達に作り方を教える事になった。
国民の体調はみるみるうちに回復していき、国に平和がもどってきた。
陛下から「褒美を渡したいので何が欲しい?」と聞かれて、私は自分の研究室が欲しいとお願いした。
薬を作って思ったけど、私はやっぱり薬を研究するのが好きみたいだ。
前世ではあんなに頑張って、何百倍という倍率を勝ち取ってなった職業も、この世界じゃ簡単になれてしまう。
自分だけの研究室を手に入れた私はティアナを助けるためにこの世界の事を思い出すことに専念した。
クリスティ公爵夫人を助けた事によって未来は大きく変わった。
ティアナが公爵に冷たく当たられる事は無くなったわけで、これからも平和で仲良しな家族でいることだろう。
よってティアナの性格が大きく変わる事はない。
寒波も今となっては色々楽しめるようになっている。
あとは……主人公の存在。
クラウスのルートに入るにはクラウスの城、つまりこの国で主人公が生活をするということ。
どんどんクラウスとティアナの中も悪くなっていって、クラウスは主人公に恋をするんだよね。
……今じゃ絶対にありえないって言えるけど。
でも人の気持ちなんて分からない。
いつ、どうやって心変わりするか分からない。
それなら、今以上にクラウスがティアナの事を好きになればいいのでは?
思い立った私はクラウスに会うためにお城へ向かった。
お城へ向かうとカペルも来ていたようで、クラウスと二人で客間へやって来た。
「どうしたんですか?この国の救世主様」
「ちょっとやめて。たまたま薬が作れただけだから」
「的確な薬草をシルヴァ伯爵に伝えたと父から聞いています。伯爵も分からなかった対処方法をレイラは簡単に気づいて実行したと。幼馴染として僕は鼻が高いです」
王子様スマイルでそう言われて恥ずかしくなる。
私は咳払いして本題に入った。
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