悪役令嬢、誕生前のお話

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「クラウス、遊びに行かない?」 「え?」 突然のお誘いに固まる二人。 それからクラウスが困ったように首を傾げた。 「それは……レイラと僕が、ですか?婚約者であるカペルではなく?」 「ああ、ごめん。言葉が足りなかった。正確には『私とクラウス、ティアナとカペルの4人で』って事。最近街で噂になってるキャンディーショップに行ってみたいんだよね」 「それはもちろん。僕もティアナに贈ろうかと思っていたところだったので」 「じゃあ決まり!」 椅子から立ち上がって笑顔を向ける。 クラウスはクスクス笑っていた。 「凄い事をやったと思ったら、いつもみたいに能天気な事も言ってくる。本当にお前って変なやつ」 「酷くない!?カペル!!それが婚約者に対するセリフ!?」 カペルは私の頭を乱暴に撫でるとフッと笑った。 ぐはっ!!! 推しの笑顔が眩しい!!!! 「改めてレイラ、僕からもお礼を言わせてください」 「何の?」 「ティアナのお母様を助けてくれた事です。あのままだったら今頃ティアナは悲しんでいたかもしれない。僕には、どうしたらいいのか分かりませんでした」 「そんなの、ティアナの側にずっと居てあげればいいんだよ」 「それは……」 「それだけでティアナの心は安心できるから。これから何があっても、クラウスはティアナの側を離れないでね」 私の言葉に目を見開くとクラウスは泣き出しそうな顔で微笑んだ。 そして私達は街へ出かけた。 周りに護衛の人達が沢山いるけど、気にしないようにしよう。 「沢山キャンディーがあってキラキラしてるわ!」 目を輝かせているティアナが可愛い。 私の腕をグイグイ引っ張りながらあっちへこっちへ動き回るティアナ。 何このお嬢様、超可愛いんですが。 「どれも美味しそうで迷うわ……。レイラは何にするの?」 「袋にいっぱい詰めてもらう」 「あ、そっか!それなら色んな種類が楽しめるわね!流石はレイラ、頭がいい!」 「やめてよ、ティアナ。惚れちゃうぞ」 そんな冗談を言っていると後ろからため息が聞こえた。 振り返るとあきれ顔のカペルと、クスクス笑っているクラウス。 「ダメですよ、レイラ。ティアナは僕の婚約者なので惚れられてしまっては困ります」 「レイラって馬鹿なのか頭がいいのか分からない」 「だからカペル、それは婚約者に言っていいセリフじゃないから」 クラウスが私からティアナを離す。 そして手を繋いだ。 赤くなるティアナをエスコートしているクラウスは本当に王子様なんだと思い知らされる。 私、この国の王子様と幼馴染なんだ。 それって本当は凄い事なんじゃない? ・
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