88人が本棚に入れています
本棚に追加
「私はただ発案しただけ。それで豊かになったのなら、それは努力した皆の力だと思ってる」
「お嬢の発案ありきでしょ?もっと自分が狙われているって事を自覚してほしいもんです」
呆れたようにため息をつくレオ。
それからすっと私に頭を下げた。
「レイラお嬢様。私はこの身を犠牲にしてでもお嬢様を守ります。私を助けてくださったのは他でもない、貴女様だから」
「レオ……」
「お嬢様の命とあれば、ティアナ様の事もしっかりお守りいたします」
そう言ってレオは呆れたように笑った。
「ところで、どうしてお嬢様は浮かない顔をされているのですか?アストロベガ城への招待なんて、喜んでもいいはずなのに……」
不安そうにマナが私の顔を見る。
私は少し考えてから首を左右に振った。
言っても分かってもらえないでしょ。
『前世で見たから』とか、何のこと?って感じだろうし。
「気にしないで。単に胸騒ぎがするだけ」
「そうですか……」
「お嬢、パーティーには他国の王族の方も来賓されます。カペル様以外の男性に目移りしちゃダメですよ」
「するわけないでしょ」
「即答」
楽しそうに笑うレオ。
私はレオを少し睨んでから窓の外を見た。
ヒロインが現れるのはそのパーティーだ。
ヒロインをこの国に滞在させなければいいわけで。
他の国へ行かせればこっちのものよ。
今から作戦でも練ろうかな。
不気味な笑いをしている私を見て二人は首を傾げていた。
*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*――*☆*
「何?めっちゃ怖い顔してるけど」
私の隣に立っているカペルが私を見てそう言う。
私はパーティー会場をくまなく見た。
まだ主人公は来ていない。
クラウスとティアナは二人であいさつ回りしてる。
とても穏やかでいい感じだ。
今日も安定にティアナが可愛い。
「カペル」
「何?」
「もし、この会場にめっちゃ可愛い女の子がやって来て、その子が全員釘付けにするような子だったらどうする?」
「質問の意図が分からない」
「ワイナー様に『カペルの家で預かってもらいたい』って言われたら、カペルは受ける?」
カペルは少し考えてから首を振った。
「ワイナー様の命令は聞かないといけないけど、それでレイラを不安にさせるなら受けないかな」
「え……」
「俺にとって大事なのはレイラだし」
カペルの言葉に赤くなる。
どうしてこの男はこんなカッコいいんだ。
成長して更にイケメンになりおって!!
……もう、捨てられるのが怖い。
最悪、主人公が私達の国に滞在することになればカペルルートへいくようにしようと思っていた。
私は捨てられてもいいって、覚悟を決めるはずだった。
それなのに、この10年で更に好きになってしまった。
カペルはとても罪深いと思います。
・
最初のコメントを投稿しよう!