『この世界』の悪役

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「今朝陛下も発表をされておりましたが、今回の薬はレイラだけが作成したわけではありません。父も関わっております。だからこそ知りたい。『痛み止め』は一体どうやって作ったのですか?作り方の内容について同じだった場合、ジェシカ嬢。貴女が盗作したと思われますが」 「あ……」 「盗作でないとここで証明しなければ、貴女は大きな罪を犯したことになります。使った薬草、工程を言うだけでいいんです。貴女が全てスラスラと言えるのであれば、ここに居る全員が貴女が真実を言っているとわかりますから」 「……っ」 「どうしました?これはジェシカ嬢を守るためでもあるんですよ?」 お兄様は悪魔のような微笑みをジェシカに向けた。 だから言ったんだ。 シルヴァ家は敵に回してはいけないって。 「その辺にしておけ、ケネス」 「父上」 「女性をそのようにいじめるものじゃない」 お父様の言葉にジェシカが顔をあげる。 お父様はため息をつくと静かに見ていた陛下を見た。 「陛下。どうやら私たちは彼女の盗作をしたと思われているようです。しかしながら我々にはそのような事実は一切無く、どのように信じていただくかと考える次第でございます。つきましては、我々シルヴァ家は責任を取ってこの国から出ることに……」 「待ってくれ!」 陛下が慌てて立ち上がる。 そんな陛下をお父様は静かに見つめた。 「陛下。私も人の子。自分の娘が素性の知れぬ小娘に侮辱されれば怒りだってします。今ここで決断いただけますか?陛下は我々シルヴァ家を信用されるのか、それともワイナー様から預かっているこの娘を信用されるのか」 「そんなもの、比べるまでもない!」 陛下はクラウスを見ると大きな声を上げた。 「クラウス!何をしている!その娘を牢へ入れろ!」 「え……なんで……」 「承知いたしました、父上」 「え?クラウス様……?」 「ジェシカ。君は最後まで馬鹿だったね」 クラウスはジェシカを冷たく引き離すと息をついた。 「ジェシカ・リード。お前はこの城での生活の中で使用人達を物のように扱い、嘘をつき、ワイナー様の名を使って脅し、挙句の果てに暴力までも振るっていたそうだな」 「!!」 「使用人達から証言はとれている。それから、証拠となる写真も手元にある。言い逃れは出来ない。そして、私の婚約者であるティアナ・クリスティに対しても嫌がらせ行為を働き、私にも薬草を過剰摂取させた。現騎士団指導統括の娘、そして王子である私の命を危険にさらした罪はとても軽くはない」 「ぁ……っ」 「そして何より。シルヴァ家の娘、レイラ・シルヴァを陥れようとした罪はそれ以上のものだ」 「どうして……」 「言ったはずだ。シルヴァ家は世界の宝。シルヴァ家と何もない君を天秤にかけて、どうして君が選ばれると思った?」 「そんな……っ」 「他国の王子にもティアナやレイラのあることない事を書き、自分に味方するように圧力をかけたそうだな。すべて、大きな罪になる」 クラウスの言葉を呆然と聞きながらうなだれるジェシカ。 その様子を見て私はため息をついた。 ・
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