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「カペル」
「何?」
「好きだよ」
「俺もだよ」
「心配かけてごめん」
「本当に」
「でもこれで、ようやくティアナは無事に過ごせるんだよね」
「無事かどうかは分からないけど」
「え!?」
「だってそうだろ。ティアナはクラウスの婚約者。次期王妃様になるわけで、友好関係にない国からは狙われ放題だろうな」
「それは大問題!!」
「言っとくけど、そんなティアナよりも真っ先にお前が狙われるのは分かってるよな?」
それはきっと私がシルヴァ家の娘であり、各国の問題を解決してしまった天才姫たるものだからだろう。
天才でもなんでもないのに、世界から狙われるって何事。
カペルはため息をついて私を離した。
「怪我、大丈夫なの?」
「大丈夫」
「だったらいいけど、無理だけはするな」
カペルに手を取られて医務室を出る。
こういう瞬間、『私って大事にされてるんだな』と感じる。
モブの私が、こんなイケメンに好かれている事なんて許されていいのか不明だけど。
会場へ戻るとティアナとクラウスが私とカペルを見つけて近寄ってきた。
「レイラ!」
「ティアナからの熱烈な歓迎、めっちゃ嬉しい」
「馬鹿な事言ってないで、大丈夫だったの?怪我の具合」
クラウスが呆れたように笑いながらそう問いかけてきた。
私は手に巻かれている包帯を見せた。
「カペルが治療してくれたから大丈夫」
「本当に……レイラはいつも唐突だよね」
「あれは私が起こそうとしたわけじゃないもん。ジェシカが勝手に自爆していっただけだし。私は平和に解決しようと頑張ったんだよ?二人で話してみたり、証拠だって先にジェシカに提出したもん」
「ジェシカの行動には驚かされたけど、それに乗ったレイラもレイラだよ」
「あれは私が乗ったわけじゃないし。クラウスが乗ったんでしょ」
そういってジト目でクラウスを見るとティアナが困ったように微笑んだ。
「でもこれでようやくティアナはクラウスと一緒に過ごせるね」
「え?」
「だって今まではティアナの安全が確保されないからクラウスと一緒に居れなかったけど、もうジェシカは居ないわけだし。ティアナはクラウスの婚約者なんだから、お城で過ごす時間も増えると思ってたんだけど」
「あ、そうね」
考えてなかったのかティアナは納得したように頷いた。
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