モブだった天才姫

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「お嬢が何を知っているのか俺にはわかりません。お嬢の考えは俺のはるか上をいっていますから。ただ、お嬢は心配することなんてもう無いんです」 心配ない、か……。 私はカペルが好きだ。 今も、前の世界でも。 捨てられるのが怖いけど、仕方ない事だったらあきらめなければ。 捨てられた私を拾ってくれる人はいるってことだから。 「それよりお嬢。ワイナー様のところへ行く約束では?」 「あ!!」 ワイナー様との約束を思い出して慌てて用意をする。 私の脱ぎ捨てた白衣をマナがハンガーにかけた。 私とレオとマナはワイナー様のお城へ向かった。 以前お会いした時よりもずっと元気そうでほっとする。 レオンさんの淹れてくれたお茶を飲んで私は目の前のワイナー様に話しかけた。 「その後、腰のお加減はいかがですか?」 「レイラ嬢がくれた薬のおかげで、だいぶ楽になった。なんとお礼を言えばよいのか」 「お礼なんて必要ありません。腰が痛いと大変でしょうし、ワイナー様が楽になって本当に良かったです」 「レイラ嬢は本当に世界の救世主じゃな」 「大げさですよ」 鎮痛薬が出来て、世界の医療は大きく発展した。 病気で苦しんでいる人たちの救いに多少なりともなれたこと、嬉しい。 「アルベルトから聞いたが、ジェシカ・リードの件、お見事じゃった」 「私は何もしていません。彼女が勝手に落ちていっただけです」 「レイラ嬢が今までしてきたことが報われただけじゃ。ワシらもレイラ嬢のためならいくらでも力を貸す」 「ありがとうございます」 「それにしても、彼女は知らぬ間に色々な悪事をしてきたのじゃな。報告書を読んで驚愕した」 レオとマナが作成した報告書は世界に知れ渡った。 使用人達に対しての暴力や暴言、エストラルド王国の王子や婚約者を命の危機にさらしたり、各国の王子に対しての失言や態度、そして何より…… 「世界の宝、シルヴァ家を陥れる虚偽の発言。なんとまあ……命があるだけ寛大な処罰じゃな」 騎士団団長であるテイラー公爵に聞いた話だと、本当なら斬首刑だったそうだ。 でもカペルが『レイラはそんな事望んでない』と言ったことによって、元々考えていたアストロベガ城近くの修道院に送られることになった。 色んな王子様に手を出していたジェシカが、修道院で耐えられるか分からないけど。 ・
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