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「レイラ」
「ん?」
「レイラは俺と結婚したい?」
突然何を言ってくるのだろうか。
したいに決まっている。
それをカペルが許してくれるのなら。
「したい、けど……」
「じゃあ、これ」
カペルが私に小さな箱を差し出す。
受け取って中を見れば、ゲームの中で主人公に渡していたテイラー家に受け継がれている大事な指輪が入っていた。
「これ……」
「母さんが、レイラにこれをって。これを受け取ったら、もうレイラは俺と結婚するしかない。クラウスが陛下と父さんに言った婚約だし、レイラの気持ちを聞かずに決まってしまった婚約だ。だから、もう一度ちゃんと聞いてから渡そうと思ってた」
カペルが私の手を取って真剣な顔で私を見つめた。
「レイラ・シルヴァ、俺と結婚してください」
ああ……なんて心がいっぱいになる言葉なんだろうか。
人は嬉しいと泣くって本当だったんだ。
私はカペルの手を握り返して笑顔を向けた。
「はい…っ!」
捨てられると思って怖かった。
でも、カペルは私を捨てないって選択をしてくれた。
じゃあこれからは、捨てられないように頑張ろう。
頑張るのは得意なんだから。
「泣くほど嬉しい?」
「嬉しいよ!だって私、ずっとカペルが好きなんだから!」
「そっか……。俺も、ずっとレイラが好きだから嬉しいよ」
涙をぬぐわれて、そのまま顔をあげられる。
カペルの綺麗な顔が近づいてきて、私たちの唇が重なった。
優しくて甘いキス。
カペルはこうやって、いつも私を甘やかしてくれる。
「レイラ、今度どっか行こうか」
「うん!」
「どこ行きたい?レイラのしたいことしよう」
「あ、じゃあ……」
そう言うと部屋をノックされてお兄様が入ってきた。
「レイラ!大変!東の街で大量に発熱した人が……って、あれ?カペル殿?来てたんで……」
お兄様は私を見て青ざめる。
私はお兄様に近づいて胸倉をつかんだ。
「お兄様……妹の恋路をそんなにも邪魔したいですか?カペルと引き離したいですか!?」
「わあ!?ごめんって、レイラ!!知らなかったんだよ!!」
「発熱!?だったら解熱剤もって走ってください!!それでもダメならこの間開発した薬が王室の医務室にあるはずです!!持ってきて、走れ!!」
「わわわ、分かった!!ごめんなさい!!」
お兄様は慌てて部屋から出ていく。
私はため息をついた。
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