池袋の暗黒街(2)

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池袋の暗黒街(2)

     駅の真ん前だけでなく、そこから少し歩き回っても、東口と西口の雰囲気は大きく違っていた。  例えば東側には例の電気屋がいくつも店を出していて、ちょっとした電気街みたいなエリアがある。そこを越えてさらに歩くとサンシャインシティ。私が子供の頃には日本一の高さを誇った高層ビル、サンシャイン60を中心とした一画だ。  大々的な施設とは別に、池袋駅の東側には、中学生や高校生が遊べるアミューズメントビルもいくつか建っていた。ボウリングやバッティングセンターやカラオケやゲームセンターなど、そうしたビル内でよく遊んだものだ。  私たちは駅の西側でも、同じように遊んだが……。  同じゲームセンターでも、東口の店と西口の店とでは、雰囲気が少々違っていた。昔々の「ゲームセンターは不良の溜まり場」というイメージほど悪い空気ではないが、なんとなくアングラな匂いが漂っていたのだ。  漠然とした『匂い』という言い方でなく具体的に説明するのは難しいけれど、一つ言えるのは立地条件の違いだった。  先ほど挙げた東口のアミューズメントビルがオシャレで健全なエリアにあるのに対して、西口のゲームセンターはゴミゴミした裏通りの中だった。きちんと看板は確認していないものの、周りの店も子供向けではなかった気がする。  私たちがよく遊んだビリヤード場は西口の雑居ビルに入っていたが、あれも『雑居ビル』であって『アミューズメントビル』ではない。間違っても「他の店にも入ってみよう」と言い出す者はいなかった。  このように、私は池袋西口を「池袋の裏の顔」と感じて、大袈裟な言い方をするならば「いかがわしい暗黒街」とすら思っていたのだが……。  実際、中学高校時代に(かよ)った、西口の北の外れにあるお店。  今考えれば、あれは違法スレスレだったのではないだろうか。  パソコンゲームのレンタルショップだ。    
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