池袋の暗黒街(3)

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池袋の暗黒街(3)

     パソコンゲームは子供のお小遣いで購入するには高価であり、頻繁に新しいゲームを買うのは不可能なので、学校の友人と貸し借りすることが多かった。  そんな中で耳にしたのが、レンタルショップの存在だ。  定価の1/10以下の金額でゲームを貸してくれるという。当時おそらく似たようなお店が都内にいくつもあったと思うが、私が聞いたのは池袋の北口にあるお店だった。  北口といっても、健全なイメージの東側ではない。アングラな雰囲気のある西側の方だ。  実際に行ってみると……。  駅から歩いて数分もしない場所だが、小さな雑居ビルの一室であり、パッと見では何かの事務所のようだった。  冷たい金属色の扉を開けば、ずらりと並んだゲームの数々。ビルの廊下や階段の薄暗さとは対照的に、店内は明るかった。  たくさんのゲームというだけならば普通のゲームソフトのお店と同じだが、ここは『購入』ではなく『レンタル』だ。金額が桁違いに安く、私には宝の山に思えた。    
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