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いよいよ商談の日。俺はあれから急いで纏めた資料を前に会議室の隅の座っていた。
「あれ?新顔?」
他のメーカーの営業達が代わる代わる声をかけて来る。その度に説明をする事に疲れはじめた頃。
「では年末会議を始めます」
それぞれのメーカーが商品の概要の説明をしている。俺はメモを取りながらも数値の事を考えていた。そこに進行約の声がした。
「では、今年のお節についてのコンセプトに沿って……」
お節……。
俺はオカンの話しを思い出した。
「それでは、各メーカー様。ご意見等があれば挙手を願いいたします」
「はい!」
俺は何の迷いもなく手をあげた。
「では、どうぞ……」許可が出た。
「すみません。初めて参加させていただいて大変烏滸がましいのですが、何故お節商材は12月31日までしか販売しないのでしょうか?何の為に元旦から店を開けているのでしょうか?」
皆が俺の顔を不思議そうに見ている。構いはしない、なんとしても成し遂げ鳴ければならない。
「お重の中が無くなった時、買い足せせられればとは思いませんか?勿論、小売業たるもの、季節感は大事なのはわかります。お正月は新年らしくもわかります。でも本来お正月は皆が休んで新年を祝う日です。その風習を無くしたのは小売業ではないでしょうか?ならば需要があるお節商材を3が日も販売するべきではないでしょうか?」
スーパーのお偉いさん達は渋い顔をしている。だが、売場責任者が掩護射撃をしてくれた。
「確かに、年が開けて栗きんとんはないの?は毎年聞かれます」
メーカー仲間が手を1人2人と叩きはじめそれが広がり皆が叩いている。それもそうだ、皆数値が苦しいはずだ。1日でも多く販売し数字を稼ぎたい。
その勢いに負けた進行役はお偉いさん達に確認した後。
「では、この件について持ち帰り積めた上で皆様に連絡を致します」
その声で会議は終わった。
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