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カードをポケットに入れ製品管理企画担当者に電話をかけた。
「も、し、も、し」やっと声が出ている様なか細い声がした。
「あ、だいぶ具合悪そうだね?大丈夫?」
「あ、宮部く、ん?ご、め、ん無理……メールす、る」
引き継ぎが出来ない、俺はメールを待った。
[宮部君すみません。声が出なくて頭も働かない。ファイルを見て好きなようにして下さい]
えっ?好きなようにって……こんな大事な事を?
商品を販売する上で製造元が一番責任を持たなければならない裏張り。つまり成分表示だ。これを研究部門と積めて取引先にリストを提出する。取引先は安全な商品か表示法に引っ掛からないか。特定アレルギー7品目、添加物を事細かに漏れなくリストをチェックする。
このリストが出来上がらなければ商談が始まらない。但し研究者と言う者達は営業の事なんか考えず研究に没頭し、故に毎回営業担当者はいつリストが出来るのか気を揉んでいるのを俺は見て来た。
強引に「何日までやれ!」と言えればいいのかだが……。ん?強引に?
俺はカードを入れ直した。
「部長、お昼はどうします?」
「お弁当持って来た」
「はっ?部長って料理するんですか?」
「するわよ!朝は○✕△○✕△……ついでにお昼を作って、夜は○✕△○✕△……得意料理は○✕△○✕△○✕△……」
やはり機関銃を発射した。
よし!強引さを手に入れた。俺は研究室に電話をした。
「間に合わない?そんな事許されるはずないだろ○✕△○✕△○✕△……」
研究者は俺のマシンガンに間に合わせますと言うしかなかったみたいだった。
次はパッケージを依頼する会社へ納期の確認。これは問題がなかった。
終業のチャイムが鳴った。
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