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「七海、結婚しよう!海外赴任から帰ってきたら親父に紹介するから」
この言葉を言われた1ヶ月前、給湯室にあるあの湯呑みを見てからこうなる事は予感していた。
伯父に電話で訳を話した。居場所は誰にも話さないでくれと頼みこの地を去る。
駅前のポストの前に立ち、バックから封筒を出す。
DNA鑑定99.9%が入った封筒……。
これを見ればわかってくれる。
宛名は絶対に結ばれてはいけない社長の息子。
「海斗さようなら」と呟き投函した。
封筒がポストに落ちた時、ゴールデンドロップが落ちた音に聞こえた。
「ポチョーン……」
自然と頬が緩んだ。
叔父の背中、あの茶処のマスターの背中を思い出した。
私は大丈夫。
精一杯、最後の一滴を出し切った後の二煎目のお茶が好きだら……。
完
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