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緑が映えるベランダ越しに置いた机の上、その緑と対象的にいつもは無機質にしか見えないパソコンが今日はまるで生き物の様に私の心臓を殴打しながら呼んでいる。
静かに椅子に座り画面を立ち上げサイトを開く。
駄目なら終わり。良ければ始まり。
結果次第で私の計画の全て決まる。
――秘書技能検定試験1級合格者――
一文字一文字が心臓を更に殴打する。ドキドキなんて言葉を通り過ぎている。
昨年の合格率は27%。
スクロールする人差し指が震えて上手く動かない。
「あっっった……」
昔、家族経営の小さい会社。その会社の息子が社長になり今では大手食品メーカーになった企業。私はその自社ビルの受付をしている。
私の計画が始まる。
先ずはそこの秘書になる。秘書検定1級に合格する。それが秘書課への異動条件だった。
机の引き出しを開ける。
――DNA検査申込書――
これを使う。
タイムリミットは6ヶ月。
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