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「七月」
ふいに後ろから抱き締められた。
「五月…どうしたの?」
「実は今日早く帰れたから七月の好きなポテトサラダ作ったんだ、それとなんだか鮭を食べたい気分だったから買ってきて今からグリルで焼こうとしてたところなんだ」
思わず石鹸を泡立てる手を止めた。
「今日は一緒に肉じゃがを食べようって言ってたじゃないか」
「そうだったっけ?じゃあそれは明日にしよう」
「…楽しみにしてたのに」
用意してくれたことはとても嬉しいが何日も前から言っていたのに忘れられていたと思うと悲しくなった。
「何でそんなこと言うの?」
「え…?」
「俺せっかく早く帰れたから七月の為にって思って作ったのに」
「あ…ごめんね」
悲しそうに抱き締める手を離した五月を見て少し罪悪感が芽生えた。
"確かに僕の為に作ってくれたんだ…こんなこと言うなんて良くないよな"
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