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第三話
事務所を出ると私は早速ニックに連絡を入れ、近くの喫茶店で打ち合わせをした。
「異種格闘技?OKだ、ボクシングの強さを世間に知らしめる絶好のチャンスだ」
「だがSir・ニック、相手は体重105kgの巨漢かつ、アルティメットルール近似のプロレス。対策はいかがなものか?」
ニックはゆっくり2、3度コーヒーをすすったあと、紳士的な笑みを浮かべながら返答した。
「ハッハッハッ、そんな事か?何の心配もない。最強の格闘技はボクシングだ。なぜボクシングが拳による攻撃のみ使用するか理解できるかい?」
「スポーツである以上、ルールによる束縛が存在するはずだSir・ニック。ボクシングとてその束縛から自由ではありえない」
「束縛?違う!!ボクシングは紳士の実践格闘術がルーツだ。
歴史的な経緯の中でバランスを崩しやすい蹴り技、隙を生む組技などの不要物が淘汰され、無駄、隙のない本当に実践的な技術のみが残ったのだよ。
その超実践的技術が拳による攻撃だ。それを必殺技に発展させ、世界最速の一撃にまで昇華させたのが私のパンチだ」
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