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「俺さ、お前がいるから救われてるよ」
さっきのニヤニヤ顔とは打って変わって遠い目をして彼はそんなことを言っていた。
「あ?」
俺は変わらず伸びた麺を啜っている。
「前はいつもいつも、俺ってなんでこんなダメダメなんだろうとか、うじうじしてて、まじきもい奴だったけど、今はお前といて、でも楽しいこともあるよなって思えるようになったと思う。」
そう言ったあいつの顔には少し影がかかっているようにも見えた。
「そんなこと言って、また無理やり嘘ついてたら苦しくなるぞ。
なんかあったんだろ、テキトーなこと言ってないで、なんかあったことを愚痴ればいいんだよ。」
顔もまともに見ずにそう言った。
「…、お前、優しいよな。」
「なんだよ急に、キモいんだけど。」
「は?ひでーー!!」
「ひどいも何もそのまま言っただけですけど」
「うわ、そんなこと言う奴には愚痴5時間コースでーーす。」
「いや、長っ! どんだけ溜まってんだよ。」
「こうなったら溜まりに溜まったもん吐き出させてもらうからな。」
「はいはい。
一旦酒買いに行こうな。」
そう言ってポンポンと頭を撫でる。
「お!!いいね!」
ーー
2人肩を並べてコンビニに行く。
話を聞いてくれる人がいる温かさが、まだ自分をこの世界に繋ぎ止めている。
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