お願い事。

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七菜香がずっと泣いている。 今まで彼女が泣いているところは片手で数えられるほどしか見たことがなかった。 でも、俺が死んでから、七菜香は毎日泣き続けている。 ふわふわ浮いている俺を認識できないみたいだったし、声ももちろん届かなかった。 それでも、俺はずーっと七菜香のそばにいた。 七菜香が泣けば俺も一緒に泣いてしまったし、七菜香が泣きつかれて寝てしまったら触れることのできない頬を撫でる真似をしていた。 そして、願う。 神様、お願いします。もう一回だけでいい、少しだけでいいから、彼女と一緒に入れる時間をください。
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