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理由
ちらっと彼のスマホを覗くと複数の女の子たちからのLINEを素早く捌いていた。
…。
「なにしてんの?」
『え?ただの指の運動。』
きっとさっき私がスマホの画面を見たことを知っているのにこんなふうに答えるのだ。
「クソじゃん」
『クソだよ』
「なんで?」
『ん?』
「何でそんなテキトーなの?」
『理由とかいるの?』
「…。」
『理由をわざわざ聞くときは、理由がいる理由も用意しといてよ』
「…、理由理由うるさい」
私はちゃんと理由はあると思った。
彼がテキトーな理由も、理由がいる理由も、私の中にはちゃんとあった。
でも、それをうまく説明して彼から理由を聞き出すことはできないと思って、何もいえなかった。
『ガキだな』
「私の方がひとつ上なんだけど」
『昨日誕生日だっただけだろ、俺も来月誕生日だし。』
「それでも、上だもん。」
『はいはい、そうだな。』
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